【実践コラム】銀行に伝えるべき情報を整理する考え方について
…数字の事実と見通しが揃うと、説明は自然に通りやすくなります。
二月は銀行との付き合い方をテーマにお話ししてきました。
前回は、相談のタイミングは資金が減ってからではなく、基準を下回りそうな段階が動きやすいという話をしました。
今回は、銀行に何を伝えると話が進みやすいかを整理します。
銀行との会話で大切なのは、上手に話すことではありません。
銀行が判断しやすい形に、情報が整理されていることです。
整理の中心になるのは、事実と見通しの二つです。
最初に伝えるべきは事実です。
- 直近の売上と利益の状況。
- 預金残高の水準。
- 借入金の残高と毎月の返済額。
この三点が揃うと、銀行側は会社の現在地を把握できます。
次に、見通しを伝えます。
- 資金繰り表に基づき、今後どの月で資金が薄くなるのか。
- その理由は何か。
- 理由が売掛金の増加なのか、在庫の増加なのか、投資なのか、季節要因なのか。
ここが曖昧だと、銀行側は状況を読めず慎重になります。
一月にお伝えしたキャッシュポジションの基準も、会話の軸になります。
最低でも月商一か月分以上のキャッシュを維持する。
- この基準に対して、現状がどうか。
- 今後の見通しで基準を下回りそうな月があるか。
この二点が言語化できると、相談の理由が明確になります。
例えば、次のような整理です。
- 現状の預金残高は月商一か月分以上を確保できている。
- 三か月後に納税と賞与が重なり、月商一か月分を下回る見込みがある。
- 対策として支出時期の分散を検討しているが、追加で運転資金も確保したい。
この整理は、銀行側の理解が早くなります。
銀行が特に気にするのは、資金の減少が一時的か構造的かという点です。
- 一時的であれば、短期の運転資金で対応できる可能性があります。
- 構造的であれば、収益改善や資本の見直しも含めた話になります。
経営側がどちらの見立てで動いているかが、説明の印象を左右します。
加えて、経営側の考え方も伝わると評価されます。
- 資金繰りの基準を持っている。
- 基準を下回る前に相談している。
- 数字のつながりを理解したうえで原因を整理している。
この姿勢は、銀行が求める管理体制そのものです。
資料は多ければ良いわけではありません。
最低限、資金繰り表、直近試算表、借入金一覧があれば会話は成立します。
あとは、数字の事実と見通しが一枚のメモにまとまっていれば十分です。
銀行対応は、気合いや交渉術ではなく、準備で決まります。
事実と見通しを整理し、月商一か月分のキャッシュ基準に照らして説明する。
この型ができると、融資の相談は格段に進めやすくなります。

