【実践コラム】固定費を増やす前に社長が確認しておきたいことについて
…売上ではなく「現金が残る構造」が固定費判断の分かれ目です。
前回は、粗利が落ちる会社に共通するパターンとして、値下げと原価上昇、ミックスの変化を整理しました。
粗利が弱ると、固定費を払ったあとに利益が残りにくくなります。
今回は、固定費を増やす判断をする前に、社長が確認しておきたい視点を整理します。
固定費は、一度増やすと元に戻しにくい支出です。
人件費、家賃、リース料、外注の固定化、サブスクリプション費用などは、毎月自動的に出ていきます。
固定費が増えると、売上が少し落ちただけで利益が急に薄くなります。
資金繰りにも直結します。
固定費を増やす判断で最初に確認したいのは、粗利で固定費を賄える構造になっているかどうかです。
売上が増えているのに利益が増えない会社は、固定費の前に粗利が弱っています。
粗利率が落ちている状態で固定費を増やすと、経営の難易度は一段上がります。
次に確認したいのは、固定費を増やしたあとにキャッシュポジションを維持できるかどうかです。
最低でも月商一か月分以上のキャッシュを確保するという基準を置くと、判断はぶれにくくなります。
固定費を増やした結果、基準を下回る月が出る見込みがある場合、追加の手当てを同時に考える必要があります。
固定費を増やす判断は、費用の大小ではなく、回収の見込みで決まります。
例えば人を増やす場合、採用した月から売上が増えるとは限りません。
- 教育期間が必要になります。
- 受注が増えるまで時間がかかります。
この時間差を資金繰り表に落とし込んでおかないと、想定より早く資金が薄くなります。
広告費も同じです。
- 広告費は使った月に成果が出るとは限りません。
- 反応率や成約率が見えない段階で増やすと、固定費に近い負担になります。
粗利率が十分かどうかを確認し、増やす場合は期間と上限を決めた方が安全です。
固定費を増やす前に、もう一つ確認しておきたいのは、変動費化できる選択肢があるかどうかです。
- 外注の活用
- 業務委託
- スポットでの専門家利用
固定費を増やす前に、変動費で試す方法があると、失敗コストは下がります。
事業が軌道に乗った段階で固定費化する方が、資金繰りは安定しやすくなります。
固定費を増やす判断は、攻めの判断である一方で、守りの設計が必要です。
- 粗利の水準が十分か。
- 固定費を増やしても月商一か月分以上のキャッシュを維持できるか。
- 回収までの時間差を織り込めているか。
- 変動費で試す余地があるか。
この四点を押さえると、固定費の増加が経営を苦しくする確率は大きく下がります。
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