【実践コラム】利益が出ているのにお金が残らない仕組みについて
…黒字でもキャッシュが減る原因は、売掛金と在庫と投資に表れやすいです。
五月は、利益が出ているのにお金が残らない理由をテーマにお話しします。
このテーマは、多くの経営者が一度は体感しているはずです。決算では黒字。税金も払っている。それなのに預金残高は増えない。この状態は感覚的な問題ではなく、数字で説明できる原因があります。
最初に押さえたいのは、利益と現金は別の動きをするという点です。損益計算書は儲かったかどうかを示しますが、現金の増減は売掛金、在庫、設備投資、借入返済などで決まります。利益が出ていても、現金が別の場所に移っていれば、預金残高は増えません。
最も代表的な原因は売掛金です。売上を計上した時点で利益は出ますが、入金が翌月以降であれば現金は増えません。売上が伸びるほど売掛金は膨らみ、現金は外に出続けます。成長局面ほど資金繰りが苦しくなると感じる会社が多い理由は、ここにあります。
次に在庫です。在庫は現金が形を変えたものです。売れる見込みで仕入れを増やすと、損益計算書上はまだ費用になっていない場合があります。一方で支払いは先に発生します。利益は出ているのに現金が減るという状態は、在庫の増加が原因になっていることが少なくありません。
三つ目は設備投資です。設備投資は損益計算書では減価償却として少しずつ費用になりますが、支払いは一括で出ていくことが多く、現金には即座に影響します。このタイミングのズレが、黒字なのに資金が薄くなる場面を生み出します。前回お話しした設備資金での借入を活用する考え方は、このズレを吸収するための手段でもあります。
四つ目は借入金の返済です。返済は損益計算書には費用として現れません。利益が出ていても、返済が重ければ現金は減ります。借入後に手元資金が増えないと感じる場合、借入金の返済が資金繰りに効いている可能性があります。
整理すると、利益が出ているのにお金が残らない会社では、現金が次のどこかに移っています。
- 売掛金として回収前の状態になっている。
- 在庫として社内に滞留している。
- 設備として固定化している。
- 返済として外に出ていっている。
この四つです。
動きを把握できると、対策は具体的になります。売掛金の増加が原因であれば、回収サイトや請求の運用を見直します。在庫が原因であれば、滞留在庫と仕入れ条件を見直します。設備投資が原因であれば、資金使途に合わせたファイナンスでキャッシュを残します。返済が原因であれば、返済額と期間を調整して資金繰りの余裕を確保します。
いずれの場合も、キャッシュポジションが月商一か月分を下回る動きが出ているなら、黒字かどうかよりも先に手を打つことが重要です。利益と現金のズレは、気づいた段階で対処できれば大きな問題になりにくいからです。
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