【実践コラム】個人信用に問題のある方が900万円の創業融資を受けた事例


…しっかりと情報を開示し説明することが大切です

一度でも金融事故を起こしてしまうと、金融機関と新規取引を開始するのが困難になります。
本日は、過去にクレジット会社からの借入で事故を起こした方が、日本政策金融公庫の創業融資を受けられた事例をご紹介します。

■ 個人信用情報機関について
日本政策金融公庫は次の機関から個人信用情報を取得し、融資審査の参考にすることを融資申込書に明記しています。

・株式会社シー・アイ・シー(CIC)
主にクレジット会社系の情報が登録される機関です。
クレジットカードの利用状況、キャッシングの利用状況等が登録されています。

・全国銀行個人信用情報センター
主に銀行系の情報が登録される機関です。
銀行からの借入状況等が登録されています。

・株式会社日本信用情報機構(JICC)
主に消費者金融系の情報が登録される機関です。
消費者金融会社からの借入状況等が登録されています。

■ 本件ご相談の流れ
飲食店の開業資金を借りたいとのことで来所されましたが、「過去にクレジット会社からキャッシングで借りた数十万円を延滞したことがある。既に完済したが、今もクレジットカードは持てない状況である。大丈夫か。」との相談がありました。

■ 弊所での対応
まずはCICにご自身の情報がどのように登録されているか確認することをおすすめし、書類を取り寄せてもらいました。
資料を確認したところ、単なる延滞ではなく、やはり「事故」として登録されています。
しかし、ご本人のお話通り、既に完済していることもしっかりと記載してありました。

申し込み後に、公庫が調べてから発覚するより、事前にこちらから積極的に説明した方が印象が良いため、申し込み時に、「借入をするに至った理由」、「返済が出来なかった理由」、を説明し、本資料を提出のうえ完済していることを証明しました。

■ 結果
公庫の担当者は、「詳細の情報により、『完済している。』ことが明確になった。
数年前の出来事であり、また、自己資金など他の要件が整っていたため、希望通り900万円の融資を出すことが出来ました。」とおっしゃっていました。

審査担当者の気持ちになってご想像ください。
・面談時に良い印象を持ったが、後から調べたらネガティブな情報が出てきた。
・事前にネガティブな情報も聞いており、後から調べたら言葉通りの情報が出てきた。

前者の場合、「自分に都合の良い話しかしない人だ。他にも何か隠しているのではないか。
そもそもあの時の話すら怪しいものだ」・・・と考えてしまうのではないでしょうか。

金融機関担当者との信頼関係は大切です。ネガティブな情報を隠すのではなく、正直に開示して理解してもらう姿勢が重要です。