【実践コラム】借入交渉時に気をつけたいこと


…金利に拘るのか?それとも金額に拘るのか?

融資を受ける立場からすると、低い金利でたくさん借りたいと思うのは当然です。
しかし、信用力の低い中小企業の場合、現実はそうはいきません。
金利を優先するのか?それとも金額を優先するのか?という選択を迫られます。

年商約3,000万円のある会社の事例です。銀行に融資を申し込んだところ、当初は「3,000万円ぐらい狙いましょう。」と大変乗り気だったようです。

しかし、提案内容が保証協会の保証付き融資であったため、保証料を考えると実質的な金利が高くなるとして、プロパー融資で提案するよう依頼しました。さらに、日本政策金融公庫から1%台の金利で調達していることを引き合いに出し、金利面の注文もつけたようです。

結果、最初は乗り気だった銀行の担当者も、いつの間にかトーンダウンしてしまい、「500万円ぐらいだったら・・・」という提案になってしまったとのことです。

銀行から見た場合、保証協会の保証があれば、最終的な回収の懸念は殆どありませんので、大きな金額を融資することができます。ただ、借り手からすると、国に対して別途保証料を支払わなくてはなりません。

一方、プロパー融資は保証料がかかりませんので、実質的な金利は総じて安くなります。しかし、銀行から見ると、高いリスクを取りますので、融資審査は相当厳しくなります。「中小企業が低い金利でたくさん借りることは難しい。」という理由はここにあります。

そもそも、金利は貸し手の条件です。「希望金利以上であれば借りない」という明確な方針があるならば、借り手が条件提示をしても構いませんが、「借りること」が本来の目的であれば、金利の注文はつけない方が良さそうです。

金融機関は重要な取引先の1つです。貴社の販売先や仕入先と同じように接してみてはいかがでしょうか。

例えば、貴社がどうしても仕入れたい商品を持っている大手の企業に初めて訪問したとします。まだ販売してもらえるかどうかも分からない状態なのに、いきなり最安値の仕入先を引き合いに出して、値段の交渉を始めたら、きっと商談はうまくいか
ないはずです。

ビジネスの条件は相手との力関係で決まります。借入も同じです。貴社が相当強い立場にないならば、「金利に拘るのか」「金額に拘るのか」目的を明確にして交渉にあたることをおすすめします。