【実践コラム】金融機関の在り方が変わろうとしています


…今年は新時代に対応するための準備期間としましょう

明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。

1991年のバブル崩壊を機に、金融機関にも暗黒の時代が訪れました。不良債権問題が顕在化し、新規貸出目標がマイナス、すなわち回収目標が課せられるような異常な時代が続きました。

この異常な状況を収めるために、金融庁が制定したのが「金融庁マニュアル」です。金融庁マニュアルは、銀行の不良債権を炙り出して処理を迫ることに一定の成果を上げました。

そしてあれから20年、不良債権処理も終わり、銀行は以前のように高い収益を上げられるようになりました。金融庁マニュアルもその役目を終えたといえます。

このような状況下、金融庁も方針をこれまでと大きく転換させようとしています。金融庁マニュアルの廃止です。

金融庁マニュアルは、不良債権処理に役立った一方で、銀行の審査を形骸化させる要因にもなってしまいました。過去の財務数値をマニュアルに当てはめるだけの機械的な作業は、社長や社員の人間性、お客様や取引先からの評判、事業の新規性など、財務数値に表れない企業の価値から将来の返済能力を推し量る力を銀行から失わせました。

金融庁は、地銀・信金等の地域金融機関に対して、地元回帰、事業性評価を取り入れた新しい審査の枠組みを提示し始めています。もちろん、金融機関側の反発もあると思いますので、すぐに現場レベルで運用がスタートするとは考えにくいのですが、間違いなく今年はその方向に前進すると感じます。

では、金融新時代に適合するために企業側はどのような準備をしておくべきでしょうか。私はビジネスモデルの整理だと考えています。これからは財務面だけでなく、非財務面も見られるようになります。

「貴社が、他社との競争に勝ち、5年後、10年後に生き残っていると考える理由は何ですか?」

この質問に胸を張って答えられるようになることを、今年の目標のひとつにしてはいかがでしょうか。