【経営コラム】高収益企業はニッチのオンリーワン企業です。


…10のニッチ戦略!

高収益を上げている中小企業は、自社が意識していないケースもありますが、何らかの『マイニッチ・ファインニッチ』を有しています。
ニッチビジネスを体系的・網羅的・論理的に整理された良書と出合いました。
ご紹介しながら解説いたします。
※以下、『競争しない競争戦略』(発行所:日本経済新聞社、著者:山田英夫氏)を中心に引用させていただきます。

ニッチには様々な種類があります。自社の事業が何らかの、または複数のニッチの領域からはみ出さないように経営を続けることで、外洋の荒波から身を守る経営ができます。永遠にこの領域内で経営を続ける知恵があれば、極めて高収益な経営を持続できるはずです。中小企業や創業の経営者には、この発想が必要です。自社のニッチを強く意識しましょう。

■10のニッチ戦略とは…貴社の『マイニッチはどれですか?』
※引用:『競争しない競争戦略』

○質限定のニッチ戦略
1.技術ニッチ…夜光塗料事業の「根本特殊化学社」
2.チャネル・ニッチ…バレイ・ダンス用品メーカー「チャコット社」
3.特殊ニーズニッチ…理美容椅子のトップメーカー「タカラベルモント社」

○量限定のニッチ戦略
4.空間ニッチ…北海道に特化したコンビニ「セイコーマート社」
5.時間ニッチ…棚卸の専門会社「エイジス社」※業務が短期間に集中。
6.ボリューム・ニッチ…卓球用品専門メーカー「タマス社」
7.残存ニッチ…レコード製造会社「東洋化成社」
8.限定量ニッチ…Be-1「日産自動車」※意図的に生産量を絞る。

○質・量限定ニッチ戦略
9.カスタマイズ・ニッチ…フルオーダースーツ「銀座山形屋」
10.切り替えコストニッチ…事務用ファイルメーカー「キングジム社」

ニッチ企業だからと言って、小さな規模に留まる必要はありません。
ニッチ企業にも当然更なる成長戦略があります。

■ニッチ企業のさらなる成長戦略は…
※引用:『競争しない競争戦略』

1.マルチ・ニッチ戦略…
「競争を避ける棲み分け市場を複数有し、トータルな売上、シェア、利潤、名声を狙う方法があります。」
2.チャレンジャーへの転換…
「ニッチ戦略によって利益を蓄積した後に、その経営資源をもとに、差別化戦略に移行し、リーダー企業と戦っていく戦略です。」

■ニッチ戦略の留意点

◎「ニッチ戦略」は当初から狙って始めるべきです。意図して取り組んだ方がはるかに成功確率は高くなります。そのためには、自社にとっての「ニッチ」を探し求める努力が必要です。簡単ではありませんが、社長の仕事です。

◎「ニッチ戦略」を継続するためには強い意志が必要です。少し成功し始めると、ニッチの領域を超えて事業領域を拡大してしまいます。結果、元も子もなくなります。
「ニッチの領域」に意図的に留まり続ける、深追いしない、忘れないでください。

孫子の有名な言葉に、「百戦百勝は善の善なる者に非ざるなり。戦わずして人の兵を屈するは善の善なる者なり」があります。「戦わずして勝つ」との意味です。

「マイニッチ」「ファインニッチ」の探求を、読者の皆様にも引き続き推奨いたします。