【実践コラム】取引条件と運転資金

…営業に精を出す前に運転資金を確保しましょう。

「勘定合って銭足らずという言葉」があります。利益は出ているのにお金が無いという状態です。なぜそのような事態に陥るのでしょうか。まずは運転資金のメカニズムを知りましょう。

■ 運転資金のメカニズム

経費の支払いは翌月10日、仕入の支払いは翌月20日、売上金の回収は翌月末、という取引条件のケースです。

  • 売上高が100万円の場合
    売上高100万円-仕入高70万円-経費20万円=利益10万円と利益は出るのですが、売上金の回収より先に経費と仕入の支払が来るため、90万円を一時的に立て替えなくてはなりません。
    これが運転資金です。
  • 売上高が200万円に増えた場合
    売上高200万円-仕入高140万円-経費40万円=利益20万円と利益は倍増しましたが、立て替えなくてはならない金額も180万円に倍増します。売上を伸ばせば伸ばす程、大きな立替金が必要になりますので、銀行からの借入を検討しなくてはなりません。

経営者の中には「出来るだけ借金はしない方が良い。」と考えておられる方も少なくありません。しかし、運転資金の借入は、売上が入金されるまでの資金をつなぐ安全性の高い借入です。経営者として、せっかく売上を伸ばす能力を有しておられるのですから、ファイナンスを活用することを過度に恐れる必要はないと思います。

また、借入のタイミングも重要です。出来るだけ借金をしたくないと言う思いが強すぎると、資金が本当に足りなくなった時点でしか融資を申し込みません。無駄な借入をしないという点において一見良い事のように感じますが、経営的には無計画とも言えます。

前述の企業の場合、売上を伸ばせば伸ばす程資金が不足することは、財務的な知識があれば事前に分かることです。資金が足りなくなってから借入に動くのではなく、営業に精を出す前に資金を確保しておく必要があります。

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