【経営コラム】新しい資本主義へ(骨太の方針、抜粋)

…課題解決を成長のエンジンに変え、持続可能な経済を実現

政権の重要課題や翌年度予算編成の方向性を示す方針=骨太の方針が6月7日に閣議決定されました。正式名称は「経済財政運営と改革の基本方針」です。

◆注目すべきは、スタートアップ(新規創業)への投資に関する部分です。以下、要点を箇条書きで抜粋しました。

  • 戦後の日本の創業期に次ぐ「第二創業期」の実現を目指す
  • 5年10倍増を視野にスタートアップ育成5か年計画を本年末に策定し、スタートアップ政策を大胆に展開する
  • スタートアップが直面する資金調達の困難さの解消を図る
  • ベンチャーキャピタルやスタートアップに循環する流れの形成に取り組む
  • 個人保証や不動産担保に依存しない形の融資への見直しや事業全体を担保とした成長資金の調達を可能とする仕組みづくり
  • 起業を支える人材の育成や確保を行う
  • 副業・兼業の促進等により円滑な労働移動を図る
  • スタートアップの経営を支援する専門家等の相談窓口整備
  • 既存企業がM&Aや共同研究開発等によりスタートアップの有する知見を取り入れるオープンイノベーションの活性化
  • 起業拠点の整備を含めて大学等も存分に活用
  • スタートアップエコシステムを作り上げ、大規模なスタートアップの創出に取り組む

◎労働人口の減少を労働参加率の増加で持ちこたえた平成の30年、いよいよ労働人口が激減する今後の日本を支えるためにも、これらの政策が成就することを願ってやみません。子や孫世代が、日本人として少しでも豊かな人生を送れるようにするためにも、現役経営者の我々も、この素晴らしい方針の一助を担いたいものです。

◆以下、(3)スタートアップ(新規創業)への投資の頁です。
ご一読ください。

(3)スタートアップ(新規創業)への投資
スタートアップは、経済成長の原動力であるイノベーションを生み出すとともに、環境問題や子育て問題などの社会課題の解決にも貢献しうる、新しい資本主義の担い手である。こうしたスタートアップが新たに生まれ、飛躍を遂げることができる環境を整備することにより、戦後の日本の創業期に次ぐ「第二創業期」の実現を目指す。このため、実行のための司令塔機能を明確化し、5年10倍増を視野にスタートアップ育成5か年計画を本年末に策定し、スタートアップ政策を大胆に展開する。具体的には、スタートアップが直面する資金調達の困難さの解消を図るため、新規上場の際に十分な資金調達を行うことを可能にすべくIPO10プロセスの見直しを進めるとともに、事業化までに時間を要するスタートアップの成長を図るためのストックオプション等の環境整備を行う。また、海外のベンチャーキャピタルの誘致も含めて、国内外のベンチャーキャピタルに対する公的資本の有限責任投資等による投資拡大を図るとともに、エンジェル投資家等の個人や年金・保険等の長期運用資金がベンチャーキャピタルやスタートアップに循環する流れの形成に取り組む。加えて、個人保証や不動産担保に依存しない形の融資への見直しや事業全体を担保とした成長資金の調達を可能とする仕組みづくり等を通じて、成長資金の調達環境を整備する。あわせて、起業を支える人材の育成や確保を行う。具体的には、成長分野において前人未踏の優れたアイデア・技術を持つ人材に対する支援策を抜本的に拡充するとともに、家庭や学校とは別に子供の才能を発掘・育成する場の整備を支援する。情報開示等を通じた副業・兼業の促進等により円滑な労働移動を図るほか、大学等の研究者と外部経営人材とのマッチングを支援する。また、スタートアップの経営を支援する専門家等の相談窓口整備を推進する。スタートアップの研究開発や販路開拓を支援するため、既存企業がM&Aや共同研究開発等によりスタートアップの有する知見を取り入れるオープンイノベーションの活性化を図るとともに、SBIR制度(中小企業技術革新制度)の強化を始めとし、公共調達の活用を推進する。ベンチャーキャピタルとも連携した支援の拡充や創薬ベンチャーへの支援の強化を行うほか、革新技術の研究開発とスタートアップ創出を行う拠点づくりを海外の大学等とも連携し、民間資金を基盤として運営される形で進める。
以上のほか、起業拠点の整備を含めて大学等も存分に活用しつつ、知的財産の保護・活用の推進、規制・制度改革等を通じて世界に伍するスタートアップエコシステムを作り上げ、大規模なスタートアップの創出に取り組む。

以下、骨太の方針全文です。ご参考。
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2022/2022_basicpolicies_ja.pdf