【実践コラム】前のめり経営がもたらすリスク
…いつも資金に困っている経営者様の共通点かもしれません。
私は長年、多くの経営者と向き合ってきました。その中で、ある共通の課題に直面することがあります。それは、手元にお金が入った途端、すぐに限界までお金を使ってしまう経営者の姿です。
日々の資金繰りに苦労しているにもかかわらず、融資金が入ったら、仕入や採用を「マックス」で行う。そして数か月後には、再びお金が底をつく。この悪循環を繰り返す経営者が、実は少なくありません。
もし、この状況に心当たりがあれば、このコラムを最後までお読みください。
■ 借入金の本質とは
銀行からの借入金は、一時的に使える資金ではありますが、決して「自由に使えるお金」ではありません。これは会社の負債であり、必ず返済しなければならないものです。借入金をすぐに使ってしまうことは、会社の財務基盤を危うくする大きなリスクとなります。
■ なぜ借入金をすぐに使ってしまうのか
多くの経営者が借入金をすぐに使ってしまう背景には、以下のような要因があると考えます。
- 短期的な視点:目先の問題解決や事業拡大に焦点が当たりすぎている。
- 過度の楽観主義:将来の売上や利益を過大に見積もっている。
- リスク認識の不足:資金不足のリスクを適切に認識できていない。
- 財務管理能力の欠如:適切な資金繰り計画を立てられていない。
■ 借入金の適切な管理方法
借入金を効果的に活用し、会社の成長につなげるためには、以下のような取り組みが重要です。
- 資金繰り計画の策定:
・最低1年間の資金繰り表を作成し、毎月更新する。
・借入金の返済スケジュールを明確にし、計画に組み込む。 - 借入目的の明確化:
・なぜ借入が必要なのか、具体的な使途を明確にする。
・借入金で得られる将来のリターンを慎重に検討する。 - 返済能力の評価:
・現在の収益状況で返済が可能かどうか冷静に判断する。
・返済に必要な利益を確保できる事業計画を立てる。 - 緊急時の備え:
・借入金の一部を緊急時の資金として確保する。
・予期せぬ事態に備え、常に一定の手元資金を維持する。 - 定期的な財務状況の確認:
・毎月のB/S、P/Lをチェックし、計画と実績の差を把握する。
・資金繰りの状況を常に把握し、必要に応じて計画を修正する。
■ 長期的視点の重要性
会社経営は長期戦です。目先の問題解決や事業拡大に焦点を当てすぎると、将来の安定性を損なう可能性があります。借入金は、将来の成長のための種まきであり、慎重に扱う必要があります。
経営者には、物事を迅速に進めたい、早く成果を出したいという強い意志があります。この姿勢自体は、決して悪いものではありません。むしろ、ビジネスを前進させる原動力となり得るものです。
しかし、同時にこの特性は「せっかち」「我慢できない」といった負の側面も持ち合わせています。特に資金管理においては、この性質が致命的な経営リスクとなる可能性があります。
「分かっているけど、自分をコントロールできない」と感じていらっしゃる場合は、外部の専門家を活用することも、一つ選択肢です。客観的な視点と専門的なアドバイスが、より健全な資金管理の実現につながります。
■ ご案内
弊所では、中長期的な視点に立った適切な資金管理のコンサルティングを行っています。単なる助言にとどまらず、実践的な支援を通じて、財務基盤強化をサポートいたします。ぜひ、ご活用ください。
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