【実践コラム】粉飾決算が招く資金調達の壁
…税金対策のつもりが経営の幅を狭めたM社の事例をご紹介します。
■ 事例の概要
決算書の信ぴょう性に疑義があることを理由に、銀行から融資を受けられなかった事例です。
■ M社の状況
年商:約4,500万円
利益:若干の利益
借入状況:日本政策金融公庫から3百万円のみ(3年前に借入)
社長は借入が嫌いなため、自己資金で対応してきた結果、資金繰りが常に厳しい状況が続いた様子です。
■ 問題点
以下の不自然な点が決算書から浮かび上がり、銀行側に疑念を抱かせました。
1.利益額の不自然な一致
過去3期ともに、利益額が数万円の黒字または赤字で推移しています。毎期売上高の0.5%内に収まる利益は偶然としては不自然です。
2.粗利率の大幅な変動
35%から65%まで粗利率が変動しています。同じ事業で特段の理由なく30%もの変動は通常考えられません。
■ 原因と社長の回答
社長に本当のところをお聞きすると、「税金を払いたくない」という理由で売上を操作していたことを認めました。資金繰りが厳しく税金を納める余裕がないため、やむを得ず粉飾決算を行ったとのことです。
■ 問題点の影響
1.法令違反
粉飾決算は明確な法令違反であり、刑事責任や信用失墜につながります。
2.経営上の損失
正しい決算書であれば融資を受けられた可能性が高いです。
資金調達の道を自ら閉ざし、経営の幅を狭めています。
3.税務リスク
当然ながら、税務調査による追徴課税や罰則のリスクがあります。
■ 解決策と教訓
M社の社長様は、法令違反を犯していることはもちろん、経営上も大きな間違いを犯しています。利益が出ているがキャッシュがないという状態であれば、融資を受けてでも税金を納めた方が、その後の経営の幅が拡がります。
社長様は、「そうした方が良いと分かってはいたが、銀行に頭を下げたり、資料を提出したりするのが苦手で、ついつい・・・」とおっしゃっていました。
確かに銀行対応が苦手で資金調達が後手に回っている経営者様も少なくないように感じます。M社様についても、1年前にお会いできていれば何とかできたと思います。深刻な事態に陥る前にご相談ください。
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