【実践コラム】借入を使って投資をする場合の判断の考え方について

…返済原資と借入後のキャッシュポジションを先に確認することが判断の基本になります。

前回は、投資を検討するときに最初に確認すべきは現金の基準であり、月商一か月分以上のキャッシュを維持できるかどうかが判断の土台になるという話をしました。今回は、借入を使って投資をする場合の判断の考え方を整理します。

借入をして投資をすることに、抵抗を感じる経営者は少なくありません。借金をして設備を買う、借金をして人を雇う。こうした判断を慎重に考えること自体は自然です。ただし、借入を避けること自体が目的になると、必要な投資の機会を逃すことがあります。

借入を使った投資の判断で最初に確認したいのは、返済原資です。借入金は、事業が生み出すキャッシュフローから返済します。毎月の返済額が、事業の稼ぎで無理なく賄える水準かどうかが、判断の基本になります。

返済原資の目安として使いやすいのは、営業利益に減価償却費を加えた数字です。この数字が、年間の返済額を上回っていれば、返済に一定の余裕があると判断できます。下回っている場合、返済が事業の体力を削り続けることになります。

次に確認したいのは、借入後のキャッシュポジションです。借入を実行しても、投資に使った後の現金残高が月商一か月分を下回るようであれば、手元の余裕が失われます。借入で現金は増えますが、投資の実行と返済の開始で資金は動きます。借入前後の資金繰り表を確認することが重要です。

借入を使った投資が有効に働くのは、投資によって生まれる収益が返済額を上回る見通しがある場合です。設備投資であれば稼働後の売上増加や原価削減、採用であれば生産能力の向上や新規受注の獲得。この収益の見通しが具体的であるほど、借入の判断は安定します。

一方で注意したいのは、収益の見通しが楽観的になりやすいという点です。投資の効果が出るまでには時間差があります。設備が稼働するまで、採用した人材が戦力になるまで、その間も返済は続きます。効果が出るまでの期間を保守的に見積もり、その間のキャッシュポジションを確認しておくことが現実的な判断につながります。

借入は、使い方次第で会社の成長を支える道具になります。返済原資の確認、借入後のキャッシュポジション、収益の見通しと時間差。この三点を整理したうえで判断することで、借入を使った投資の成功確率は上がります。

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