【実践コラム】資金繰りが悪化し始めたときに社長が最初に整理したい優先順位について
…資金の出口と滞留を分けて見て、ファイナンスを早めに組み立てます。
前回は、イラン情勢など外部環境の変化が、売上より先に原価や運転資金から資金繰りに効いてくる話をしました。今回は、資金繰りが悪化し始めたときに、社長が最初に整理したい優先順位をお話しします。
資金繰りが苦しくなる場面では、対策を思いついた順に動くと判断が散りがちになります。最初に行いたいのは、原因を出口と滞留に分けることです。
出口は現金が外に出ていく要因、滞留は現金が社内外で止まって戻らない要因です。
二つに分けると、やるべきことが整理できます。
出口の代表は支出と返済です。
仕入れ、外注費、人件費、家賃などの固定費、設備投資の支払い、借入金の元本返済が出口にあたります。出口が増えている場合、支出のタイミングと金額の設計が最優先になります。設備投資は資金使途に合わせて都度ファイナンスを組む前提を置くと、キャッシュの減少を抑えられます。返済が重い場合は、返済額と期間の調整も検討対象になります。
滞留の代表は売掛金と在庫です。
売掛金が増えている場合、回収条件と運用が資金繰りを左右します。
入金予定と入金実績のズレが増えているなら、早めに原因を特定し、請求運用や条件の見直しに着手します。在庫が増えている場合、滞留在庫の金額と原因を把握し、現金化の方針を決めます。滞留が増えた状態で出口も増えると、資金繰りは一気に崩れやすくなります。
ここまで整理したら、次に見たいのはキャッシュポジションです。
最低でも月商一か月分以上という基準に対して、どの月で基準を割りそうかを資金繰り表で確認します。基準を割りそうな月が見えた時点で、対策は後手に回さない方が安全です。
この段階での中心はファイナンスです。
資金繰りが悪化し始めた局面で、借入を選択肢として持てる会社は強い立場にあります。大切なのは、困ってから借りるのではなく、基準を割る前に組み立てることです。
金融機関は資金使途に応じた融資を基本としているため、資金需要が発生したタイミングで丁寧に借入を組む方が通りやすくなります。設備が発生した場合は設備資金として都度借りる、運転資金が必要な場合は運転資金として早めに相談する、この整理ができている会社は、運転資金の枠を温存しながらキャッシュを守れます。
資金繰りが悪化し始めたときに避けたいのは、結論を先送りすることです。
売掛金と在庫の滞留を放置し、支出と返済の出口も変えず、最後に資金調達を考える。この順番になると、選択肢は急に減ります。
出口と滞留を分けて原因を整理し、基準を割る前にファイナンスを組み立てる。
この順番が、資金繰りを立て直す確率を高めます。
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