【経営コラム】社長の仕事は未来を設計すること

…経営者にしかできない、たった一つの仕事

三回にわたり、「イン・ザ・ビジネス」と「オン・ザ・ビジネス」という考え方についてお伝えしてきました。
第一回では、多くの中小企業経営者が、事業の中で働く「イン・ザ・ビジネス」に陥りやすいことを述べました。第二回では、経営者は現場から一歩離れ、高所・大所から会社全体を俯瞰する「オン・ザ・ビジネス」の視点を持つことが重要であることをお伝えしました。

では最後に、一つの問いを投げ掛けたいと思います。
社長にしかできない仕事とは、一体何でしょうか。

  • 営業でしょうか。
  • 資金繰りでしょうか。
  • 採用でしょうか。
  • あるいは、クレーム対応でしょうか。

もちろん、それらは重要な仕事です。しかし、どれも本来は社員や幹部に任せることができる仕事です。

一方で、誰にも任せることのできない仕事があります。それは、会社の未来を設計すること。これこそが、経営者だけに与えられた役割です。
経営とは、今日を管理することではありません。未来を創ることです。

  • 三年後、五年後、十年後、自社はどのような価値を社会に提供しているのか。
  • どのようなお客様から選ばれているのか。
  • どのような社員が活躍し、どのような企業文化が根付いているのか。

その未来を描き、現在の意思決定につなげることが、経営者の使命です。

私は経営者を「建築家」に例えることがあります。建築家は、自らレンガを積みません。図面を描き、全体を設計し、完成した姿を誰よりも鮮明に思い描きます。その設計図があるからこそ、多くの職人が力を合わせ、一つの建物を完成させることができます。会社も同じです。

社長が現場で誰よりも働いていても、会社の設計図がなければ、組織は同じ場所を回り続けるだけです。だからこそ、経営者は未来を語らなければなりません。理念を示し、進む方向を示し、社員が「何のために働くのか」を示さなければなりません。
社員は、未来が見える会社でこそ、自ら考え、自ら行動し、成長していきます。その未来を示せるのは、社長しかいません。未来は、突然やってくるものではありません。未来は、今日の意思決定の積み重ねによって創られます。

  • 価格をどう決めるか。
  • どの事業に投資するか。
  • 誰を採用するか。
  • どのような人材を育てるか。
  • どこまで権限を委譲するか。

こうした日々の判断は、すべて未来への投資です。だからこそ、経営者には「考える時間」が必要なのです。予定が空いたから考えるのではありません。未来を創るために、考える時間を予定に入れるのです。毎週二時間でも構いません。毎月半日でも構いません。現場を離れ、自社を俯瞰し、未来から現在を見る時間を持ってください。
「今、何をするか」だけではなく、「未来のために、今、何をしないか」を決めることも、経営者の重要な仕事です。

経営者は、多くの仕事を抱える人ではありません。本当に重要な仕事を選び抜く人です。会社の成長は社長の能力だけで決まるとは思っていません。社長の「視座」によって決まると考えています。高い場所から会社を見つめる経営者は、変化を先読みし、機会を見いだし、組織を育て、持続的な成長を実現します。反対に、目の前だけを見続ける経営者は、問題への対応に追われるうちに、変化そのものを見失ってしまいます。

三回にわたりお伝えしてきた「イン・ザ・ビジネス」と「オン・ザ・ビジネス」という考え方は、決して働き方の違いを論じているのではありません。それは、経営者の視座の違いをお伝えしたかったのです。

  • 会社を変える前に、まず経営者の視点を変える。
  • その視点が変われば、判断が変わります。
  • 判断が変われば、行動が変わります。
  • 行動が変われば、組織が変わります。
  • そして、組織が変われば、会社の未来は必ず変わります。

最後に、皆様へ一つの言葉を贈ります。
経営者は、会社で一番働く人ではない。経営者とは、会社で一番遠くの未来を見る人である。その未来を描き、その未来へ向かう道筋を設計し、組織を導くこと。それこそが、社長にしかできない、そして社長が果たすべき最も大切な仕事なのではないでしょうか。

――――――――――――――――――――――――――――

※銀行融資プランナー協会の正会員である当事務所は、クライアントに『お金の心配をできるだけしない経営を行ってもらう』ための新しい機能(=金融機関対応を含む財務の機能)を持つことを宣言いたします。我々は、『税理士』ではなく、『新・税理士』です。遠慮なくご相談ください。

○音声・パワーポイントレジュメ付の誌上無料セミナー(20分)をご視聴ください。
【創業~中小零細企業経営者が押さえておくべき銀行取引の基本ルール10!と3つの事例!】
…借り手の論理ではなく貸し手の論理で!雨傘理論ではなく日傘理論で!
https://youtu.be/74QoKmoljcc